ファクタリングは迅速、確実な資金調達を行う手段として人気があります。
売掛債権を用いた手法となるため、一般的には同債権が多く発生する建設業や運輸業などに親和性があるとされますが、実は福祉事業者にも強い親和性があり、実際に多くの利用ケースがあります。
高齢化がさらに進むわが国では、通所介護や訪問介護、訪問看護、グループホーム運営などの福祉事業者が活躍の場を広げています。
本章ではこうした福祉事業者にファクタリングがお勧めできる理由について解説していきます。

■理由1:福祉事業者は元々資金的に不利な側面が多いから

福祉事業者は元々資金的に不利な側面が多いから

業界に詳しくない一般の方はイメージが湧きにくいと思いますが、介護などの福祉事業者は一般商社よりも資金繰りで問題が生じやすく、運営にはかなり気を使います。
なぜ福祉事業で資金問題が生じやすいのか要因を個別に見ていきます。

①初期費用がかかる

福祉事業では介護や看護に必要な専門機材を十分に用意しないと事業を始められません。
これら機材は高額なものが多く、初期投資としてかなりの負担が生じます。

②経常費用がかかる

事業を開始した後も経常的な支出が多くかかります。
最も負担になりやすいのが人件費で、ただでさえ人手不足の昨今では十分な対価を用意しないと優秀な人材が集まりません。
福祉関連の事業の場合、法律で定められた人員数を確保しないといけないという縛りを受けるので、一般商社のように経営状況によって人員の数を自由に調整するということもできません。
雇用に係る費用の他、介護や看護にかかる機材の滅菌消毒など事業特有の経費が多くかかります。
突発的な支出が発生することも多く、経営者の悩みの種となります。

③給付金の入金が遅い

介護や看護などの福祉サービスを受けた側は1割~3割の自己負担金を支払いますが、残りは国の機関が福祉事業者に給付金として支払いを行います。
この給付金の支払いはおよそ二か月程度の期間を要すため、福祉事業者はすぐに対価を得ることができません。
一般の商社であれば、売掛先に対して「早く支払って」と催促することも可能ですが、福祉事業者の場合は国の制度としてそうなっている仕様ですのでどうにもできません。
その間に突発的な資金需要が発生した場合、手元に現金がないので困ったことになります。

④収益確保の流動性が大きい

福祉事業は国の政策変更などの影響が頻繁に入り、その影響を受けて収益の変動が大きくなります。
診療報酬の改定などは頻繁に入るので、事業者としては政策変更にいちいち左右されてしまいます。
また福祉事業特有の問題として、利用者とのトラブルが生じやすく、損害賠償や訴訟費用などがいつ発生するか分かりません。
利用者が利用費用の未払いを起こし、回収のための費用が発生するということもあるでしょう。
福祉事業にはこうしたリスクが多く内在しているため、経営はなかなか大変です。

⑤融資を受けづらい

困った時に融資を受けられればいいですが、これもまた銀行が及び腰になる理由があります。
一つは上でも見たように福祉事業者は収益確保の流動性が大きく、経営状態の波が生じやすいので、銀行からすると返済が焦げ付くリスクをかなり気にします。
銀行は利益が確実視されなければ融資は行いません。
また社会福祉法人などの非営利性の性格を持つ組織の場合、そもそも営利を目的としていないのですから、返済に係る資金をしっかり確保できるのかどうか、銀行としてはさらに心配になります。
こうした理由から、福祉事業者は融資を受けづらい性質があるのです。

■理由2:迅速・確実に資金不足に対応できるから

迅速・確実に資金不足に対応できるから

資金繰りに窮する場面が多く出る上に融資も受けづらい福祉事業者は、資金調達の面で不利であることはお分かりいただけたと思います。
そこでぜひ検討してもらいたいのがファクタリングによる資金調達です。
ファクタリングは売掛債権を売却して現金化するものです。
自社が保有する資産の売却によるものですから、融資と違って返済という概念もなく、担保や保証人なども不要です。
一般商社の場合、取引先に商品やサービスを売った対価として売掛債権が発生しますが、福祉事業者の場合は利用者となる個人ではなく、介護報酬や診療報酬を支払う国の機関が売掛先になります。
上で述べたように国の機関が給付金を支払うまで二か月程度を要しますが、その前に資金需要が発生した際には国の機関に対して有する債権をファクタリング業者に譲渡します。
これにより、債権の早期現金化が実現でき必要な資金需要を満たすことができます。

■理由3:一般商社よりもファクタリングを利用するメリットが大きいから

一般商社よりもファクタリングを利用するメリットが大きいから

福祉事業者の場合、一般商社よりもファクタリングのメリットを受けやすい特性があるので、本項でファクタリングのメリットをまとめて見てみましょう。

①審査否決はほぼない

ファクタリングは利用事業者に赤字や税金滞納があっても利用できることに大きな魅力があります。
反面、売掛金を支払う売掛先企業の信用が重視されるため、一般商社の場合は売掛先の経営状態が良くないと利用を断られることがあります。
これが福祉事業者の場合、売掛先となるのは国の機関ですから、不払いが起きる可能性は限りなく0です。
ファクタリング業者のリスクは0なので、利用を断られることはまずありません。

②手数料が安い

さらに、優良な売掛先が関与する事案ということで利用手数料の面でもかなりの優遇を受けることができます。
弊社でも福祉事業者の方の売掛債権は積極的に買取に応じております。
利用者様にとって有利なお取引を提供できますので、ぜひご相談頂ければと思います。

③返済不要

ファクタリングは返済という概念がないので、融資のように返済期限や利息負担を考えて心配を募らせる心配が要りません。
融資を受けるということは資金が足りないためで、もし借り入れた資金で十分な儲けを得ることに失敗すると返済が焦げ付き、倒産の危機となります。
ファクタリングはそのような心配が要らないので、資金面だけでなく精神的にも安心です。

④担保や保証人が要らない

上でも見ましたがファクタリングは資産を売却するだけなので保証人や担保は一切必要ありません。
バックボーンになっている事業体にもよりますが、中小の福祉事業者の場合は担保となり得る資産を保有していないことが多いと思われます。
ファクタリングは担保や保証人は不要ですので問題ありません。

⑤迅速な手配が可能

融資や借り入れには審査が必要で、一定の時間がかかります。
突発的な資金需要が生じたり、資金ショートの危機が生じたような場面では悠長に待っていられません。
ファクタリングならば遅くても数日以内に現金の手配が可能ですから、急ぎの事案にも対処できます。

■福祉事業者のファクタリング方式について

福祉事業者のファクタリング方式について

ファクタリングの利用形態には二社間取引と三社間取引の二つの形態があります。
二社間取引は債権を譲渡する企業とファクタリング業者の二社だけが取引当事者になるもので、売掛先の企業は取引当事者となりません。
売掛先に債権譲渡の事実を知られずに済むので、信用面での影響を避けることができます。
三社間取引は売掛先の企業にも取引当事者になってもらう必要があるので、債権譲渡の事実を知られることになります。
その代わり、売掛先の合意を得ることからファクタリング業者のリスクがほぼなくなるため、手数料の面でかなり優遇されます。
福祉事業者の場合、売掛先は国の機関ですから、債権譲渡の事実を知られても特に困ることはありません。
そのため通常は三社間取引の形態がとられ、手数料の大きな優遇を受けることができます。

■まとめ

本章では福祉事業者にファクタリングがお勧めできる理由について見てきました。
前提の問題として福祉事業者は資金繰りの面で問題が生じやすいベースがあることと、金融機関からの融資を受けづらい性質があります。
そのため資金面で問題が生じやすい事業形態であることに留意が必要です。
ファクタリングは売掛債権があれば利用できるので、融資のように利用を敬遠される要素は入りません。
必要な場面で迅速、確実に資金調達を行えますので、ぜひご検討頂ければと思います。