現在政府は「貯蓄から投資へ」のスローガンを掲げ、国内に滞留する資産が投資に活用されるように様々な施策を打っています。
そのうちの大きなものに新NISAがあり、投資が苦手とされる国民もこれに乗じて投資を始める人が多くなっています。
投資対象には様々なものがありますが、債権とREITで悩んでいるという人が結構いらっしゃるようです。
本章では新NISAで債券vs REITどちらを選ぶ?というテーマで進めてみたいと思います。

新NISAがいよいよ始動

新NISAがいよいよ始動

旧NISAにはいくつの種類がありましたが、2024年から始まった新NISAはこれらが統合され、新しい施策として運用されています。
これまでとの違いを端的に見ると、まず非課税投資枠が大幅に拡大したことで税金面での恩恵が強くなっています。
これまで期限が設定されてた非課税の保有期間は新NISAで期限がなくなり恒久的に運用が可能となります。
また消費した非課税枠は投資対象の商品を売却すると復活する仕組みになっており、投資家にとってより戦略的な運用ができるようになっています。
根本の仕組みから改正が加えられた新NISAは投資家にとって可能性の幅が広がり、実利の期待が持てるのは勿論ですが面白みのある施策としても捉えられています。
さてその新NISAで何に投資するかということで、巷では債権とRIETのどちらが良いかという話題が聞かれます。
以下では債権やRIETがどのようなものか、どちらが投資対象としてお勧めできるのか見ていきます。

債権とは

債権とは

債権は企業が発行するもので、購入する投資家は企業に対して貸し付けを行う立場になります。
企業は株式も発行できますが、こちらは企業の資本となるので投資家は元本の返金は受けられません。
債権は一定の期限には元本が戻ってくる他、一定時期に利息も受け取ることができます。
投資商品の性質としては、株式と同様に値下がりのリスクがありますが、株式よりも値動きは小さめです。

REATとは

REATとは

RIETは不動産投資の新しい形として生み出されたもので、海外で先に浸透、発展していたのですが、近年になって日本の市場にも導入されています。
通常、不動産投資を行うには不動産の現物を購入する必要があり、これにはかなり高額の資金力が求められます。
一般の投資家が参入するにはハードルが高かったのですが、RIETの場合は投資家は小口の資金拠出ですむようになっています。
資産運用会社が広く一般の投資家から小口の投資を募り、この資金を不動産で運用します。
そこから生まれる利益を投資家に還元し、投資家はインカムゲインを得ます。
投資商品の性質としては、インカムゲインの利益が比較的高く儲けを得やすい反面、株式に準じる価格変動があります。

債券vs REITどちらが良いか?

債券vs REITどちらが良いか?

株式と比較した場合、債権もRIETも価格変動リスクは下がるので、投資初心者などでリスクをできるだけ避けたい場合は両者とも検討対象になります。
RIETは債権よりも値動きが激しく株式に準じる変動がありますが、それでも株式よりは若干変動の波は穏やかという印象です。
債権とRIETの投資商品としての特性を深掘りしてみると、以下のような特徴を捉えることができます。
まず債権は、景気が良くなると金利が上がり、価格は下がる傾向があります。
逆に景気が悪くなると金利は下がる傾向にあり、価格は上昇機運となります。
一方RIETはどうかというと、景気が良くなると空室率が下がり賃料が上昇するため価格が上がる傾向になります。
景気が悪くなると空室が増え賃料が下がる傾向があることから価格が下落に向きます。
こうした性質を捉えて、投資する時期や社会情勢などを見ながら対象を選択する必要があり、一概に債権が良い、RIETが良いと断言することはできません。
一つ言えるのは、債権は不景気に比較的強いとされていて、景気が良い場面で購入すれば金利の恩恵を受けられ、不景気時に売れば儲けが大きくなります。
ただし景気の波は短期間では訪れませんし、予測が難しいので思惑通りにはなかなかいきません。
RIETは不景気時に買って好景気時に売れば儲けが大きくなりますが、やはり景気の波は予測が難しく、思惑通りにはいかないことが多いでしょう。

選べなければバランス型投資信託の選択も

結局、債権とRIETどちらが良いかはその時々の時世を見て判断するしかありません。
それには投資方面のリテラシーが求められますが、初心者の方や勉強に時間が取れない人もいると思います。
そうした人はバランス型の投資信託という選択肢もあるので検討してください。
バランス型の投資信託は国内株式、海外株式、国内RIET、海外RIET、国内・海外債券など複数の資産に均等分散して投資できる商品です。
投資信託ですから具体的な投資先はファンドマネージャーが選定、運用してくれるので、投資家は詳しいノウハウや知識がなくても運用を任せられます。
投資に興味があって積極的に勉強して知識を付けたいという人は自力で力試しをしてみてもいいですが、勉強に時間が取れない人、勉強には興味がなく手堅く利益だけを求めたいという人はこうした投資商品もあるので検討してください。

まとめ

この回では新NISAで債券vs REITどちらを選ぶ?というテーマを見てきました。
債権もRIETも株式よりはリスクが少ないとされているので、初心者の方や本格的な投資をする前に試しでやってみたいという方は手始めの投資対象として考えてみても良いでしょう。
ただ投資にはリスクがありますから、自信がなければ無理に投資対象を限定する必要はありません。
バランス型の投資信託という選択もあるので、必要に応じて検討してください。