ビジネスを行う事業者には儲けを追及する姿勢が必要であり、この営業活動のおかげで国中にお金が回り、私たちの経済が守られています。
個別の事業者にとっても利益確保は最重要課題で、得られる利益を漏らさず回収できるよう、利益の最大化を意識した経営が求められます。
本章では利益を最大化するためのヒントや各方面における施策について横断的に見ていきます。

在庫管理の適性化

在庫管理の適性化

実物の商品を扱う事業者の方は在庫管理の面で課題を抱えていることが多いと思います。
不要な在庫の発生は本来得られる利益を逃した結果であり、それ自体が利益の流出となるものですが、その製品の生産にかかった費用がまるまる無駄になるわけですから、その意味でも利益を圧迫することになります。
在庫の積み増しについては単純な販売不振だけでなく、社会経済の循環が影響することが知られています。
思わしくない影響をできるだけ排除するには景気を予測する経営者の目が必要になるわけですが、これには限界もあります。
近年は不要な在庫ができるだけ発生しないようにする在庫管理の技術が進歩しているので、これをぜひ活用したいものです。
需要予測の精度を上げるためにシステムやツールを導入する企業が増えており、これによりリアルタイムでの在庫管理と需要予測が可能になります。
サプライチェーンとの連携を強化して、必要なタイミングで必要な量の仕入れができるようにすることも考えていきましょう。

顧客の管理と新規開拓

顧客の管理と新規開拓

闇雲に商品を売るというよりは、顧客の数を維持し、その規模を拡大していく意識を持つことが大切です。
要するに既存客を大事にすることと、新規の顧客開拓を並行して進めパイの最大化を図るということです。
既存顧客に対しては一定の信頼を獲得できていますから、アンケートを行うなどして意見を吸い上げ、製品開発につなげることができます。
これにより既存客のファン意識を強固なものにすることができ、長く安定した利益の創出につながります。
同時に新規顧客の開拓を進め、競業他社に利益が流れ出ないようにしたいものです。
顧客満足度を高め、企業ブランドを向上させることで利益の最大化が図れます。

コスト管理

コスト管理

不要なコストを削減することで相対的に利益の最大化が図られます。
企業におけるコストの削減は一般家庭のそれとは異なり、ただ単に支出を減らせばよいというものではありません。
もちろん不要な支出は減らすべきですが、企業活動を推進する支出を減らしてしまうと儲けを生み出す推進力が失われてしまいます。
例えば人件費は支出項目の中でかなり大きなウエイトを占めるので、支出削減を考える際には経営者の目に留まりがちな項目です。
しかし安易な人件費削減は考え物で、下手をすると人的資源の流出となってしまう結果となりかねません。
残った従業員の士気の低下を招くことにもつながりかねないので、人件費の削減については熟考が求められます。
固定的支出として光熱費の削減やオフィスの縮小化が図れないか検討してみてください。

生産性を向上させる

生産性を向上させる

より少ない労力とコストでより多くの製品やサービスを生み出せるようにすれば利益を最大化することにつながります。
生産性を向上させることも経営者としてはぜひ意識する必要があり、この面では大きく二つのプロセスが考えられます。
一つは生産にかかる効率性を上げることで、これにはテック技術やシステムツールが大いに寄与してくれます。
業種によって利用可能な仕組みは異なりますが、効率的に生産性を上げられる仕組みは多少の初期投資がかかったとしても検討すべきです。
もう一つは従業員の意識改革で、実働部隊である現場の従業員がやる気を出せる仕組みづくりも重要になってきます。
給与や福利厚生の充実なども重要な要素ですが、社員個々人の能力を引き出し、成長を実感できる環境を整えてあげれば自然と生産性は向上します。

サービス単価の見直し

サービス単価の見直し

最近はモノの値段が上がり消費者の財布の紐が固くなっているとされます。
しかしただ単に安売りをしてモノやサービスを買ってもらおうとすると、結局適正な利益を逃してしまうことになります。
薄利多売で生き残っている事業者も中にはいるのでしょうけれど、競合の存在を考えればいずれは限界が来ます。
逆に、一頃はやった高級路線で闇雲に高い値段設定をすると確実に嫌われます。
消費者の目は肥えているので、価格と質が合わないものはすぐに排除されます。
大切なことは利益率が適正となるような値段設定をしたうえで、これを顧客に買ってもらう仕組みを作ることです。
製品やサービスの価格が市場原理に即しているか見極めるには市場調査が必要になる事もあります。
自社の製品の価値を正しく理解して、競合の存在がある中で市場で共存するにはどのような販売戦略が必要となるか考えてみましょう。

マーケティング分析

マーケティング分析

マーケティングは効率的に売り上げを増やすための手段です。
マーケティングには市場調査だけでなく、販売戦略に直結した顧客との直接的な接触も含まれます。
すなわち、イベントを通したプロモーションや販促キャンペーンなど自社のファンとなってもらう販促活動全てを含みます。
こうしたマーケティング活動には一定のコストがかかりますが、これは必要不可欠な経費として認識しなければなりません。
もちろん、成果につながる販促活動とならなければその支出は無駄になってしまうので、あくまでも売り上げを上げるための必要な範囲のものに限ります。

顧客の意識調査を行う

顧客の意識調査を行う

商売はつまるところ買い手がいて成り立つものですから、顧客の目線に立った販売戦略を取れていないと営業利益の増大は望めません。
その業界、業種にもよると思いますが、社会的な変化や消費者の購買行動の変化に機敏に対応できないと売り上げ増加は望みづらい世の中になっています。
今の消費者は割とミニマルな生活設計を好む人が多く、必要以上に豪華な生活を必要としない傾向があります。
販売者としては例えば過剰な包装をしないことを売り文句にして、その分値段設定を安めにすれば消費者に対して好印象を持ってもらうことができるかもしれません。
業種によって一律に同じ感覚となるものではありませんが、その業種における顧客の購買意識に沿った販売戦略が求められることは間違いありません。

財務戦略の最適化

財務戦略の最適化

財務面の健全性を確保することも利益最大化のために重要となります。
キャッシュフローの管理を適切に行うことで資金繰りの問題を回避し、儲けを生み出す持続的な経営を可能にします。
持続的なビジネス推進を図るためには必要な資金を確保しなければなりません。
そのための投資家との関係構築やクラウドファンディングなど新しい資金調達方法を活用することも必要になります。

まとめ

本章では企業の利益を最大化するためのヒントや施策について見てきました。
利益を最大化するには闇雲に売り上げを上げるだけではなく、本来得られるはずである利益まで逃さず獲得するという意識を持つことが必要になってきます。
潜在的な利益は目に見えづらいので、これをどう獲得していくかが経営者の手腕にかかっています。
会社の内外に目を向けて工夫できるところがないか検討してください。