ファクタリングは売掛債権を活用した資金調達手段で、従来の借り入れや融資による資金調達手段とは性質が全く異なるものです。
返済の必要がなく、自社資産を現金化する行為で法律上は債権の譲渡取引にあたります。
日本国内ではここ十数年で飛躍的に認知度が上がり、取引件数もうなぎ上りの状態です。
大人気のファクタリングですが、海外のファクタリングと国内とでは何か違いがあるのでしょうか。
本章では海外のファクタリング事情や日本との違いについて見ていきます。
一般的な資金調達手段としての違いはない
ファクタリングは売掛債権を早期に現金化して事業資金として活用するものです。
この意味では日本も海外も違いはありません。
ただ国によって法制度や商習慣が異なりますから、各国で細かい違いはあるかもしれません。
例えば日本でファクタリングの対象になるのは売掛金の支払い時期が到来する前のもので、支払い期限が到来した後の債権はファクタリングの対象になりません。
支払い期限が到来した後の債権はいわゆる不良債権の扱いとなり、一般のファクタリング業者が買い取ることができなくなります。
支払い期限が到来した後の売掛金を回収するには、サービサーといって特別に国の許可を得た機関や法律事務所などしか扱えないルールになっています。
ここら辺のルールは国ごと、あるいは各国地方政府などの独自のルールで違ってくる可能性があるので、そうした違いはあるかもしれません。
先行国ではすでに旺盛な需要
ファクタリングの需要については各国で違いがあります。
ファクタリングはアメリカで発展した商取引であるとされ、そのため先行して活発な取り引きがなされてきました。
先行国では市場はすでに飽和状態ともいわれていて、発展著しい中国でも飽和に近い状態とされています。
欧米ではフランスやドイツ、イタリア、イギリスなどでは取引件数が伸びている報告があるので、こちらはまだ伸びしろがあるとみることができます。
海外では1000億ドル以上の取引がされていますが、日本の最近の取引高は約490億ドル程度とされているので、数字の面では多少少なく見積もられます。
それでも日本国内では手形取引の縮小や法律の改正によりファクタリング需要に追い風が吹いてるので、将来的な取引数増加はまず間違いないとみられています。
現場目線でもここ数年で取引数は確実に増加しており、この勢いは今後も増していく様相を強く感じます。
勢いという意味では日本は全く負けていないと言って良いのではないでしょうか。
国際ファクタリングの需要について
一般的なファクタリングと言えば売掛債権を早期に現金化するものですが、ファクタリングの種類の一つに国際ファクタリングというものもあります。
これは海外向けに輸出を行う事業者のリスクヘッジをするもので、我々が行う一般的なファクタリングとはまた異なります。
海外に輸出を行う事業者は、何かトラブルがあっても自国の法律が通用しない相手国内の事業者に対し強制力を持って資金回収ができないというリスクがあります。
相手が約束通りに支払いをしてくれないという事態になった場合、自国の裁判所に訴えても基本的に強制力を持って取り立てを行うことはできません。
そうした事態に備えるのが国際ファクタリングで、万が一トラブルがあっても売掛金の回収ができるように保証を付けることができます。
この国際ファクタリングは日本ではまだ認知度がさほど高くないようですが、輸出を多く行う国ほど需要は多くあると推察できます。
一般的な資金調達手段とは異なりますが、こうした種類のファクタリングもあるということも覚えておいてください。
まとめ
この回では海外のファクタリングと日本との違いについて見てきました。
一般的な資金調達手段としての大きな違いはありませんが、国ごとに法律やルールが違うので運用面での違いはあります。
国内では今のところ法律面で大きな規制が入る予定はないので、自由度の高い資金調達手段として人気があります。
経営層の方にはぜひ積極的に検討して頂ければ幸いです。