何となく会社を経営してみたい、あるいは会社勤めが嫌になって独立したいと考える人は多いと思います。
社長は自由で縛られない、楽に生きられるなどのイメージが持たれがちですが、会社を経営するのは生易しいことではありません。
大きな責任を負い、会社と運命を共にする覚悟がなければ経営者は務まりません。
では「経営」とはいったい何をする仕事なのでしょうか。
この回では社長の仕事となる「経営」の意味や定義について考えてみましょう。
■経営とは何を指すのか?
経営とは、主に企業体を運営し、これを存続させるための一切の手段や方法、仕組みを指します。
要するに会社で事業を行って利益を出し続けるということです。
勤め人である従業員は例えば営業部に所属して取引先から仕事をとってくるなど、自分に与えられた仕事をこなせばそれでOKです。
営業部の部長は部をまとめるのが仕事で、他の部門に関しては責任を負いません。
管理職も含めて、従業員であれば「自分(自部門)のやるべきことはやった。後は知らない」と言うことができますが、社長はそうはいきません。
社長は各部門をまとめ、会社全体を運営するのが職務であり、これが会社を「経営」するということです。
社内の事は全て社長の責任であり、その責任を取ることも経営に含まれます。
人の上に立つということはなかなか大変なことです。
■事業経営において必要な要素
ここでは事業経営において必要な要素を見ていきます。
①経営方針・経営計画
根源的に、ビジネスは人の役に立つ内容でないと成立しませんから、自社は何のために社会に存在しているのか、社長は明確にできるようでなければなりません。
こうした社長の理念の下で、事業展開に必要な行動を具体化したものが経営方針です。
そして経営方針の元に、具体的な計画として作成されるのが経営計画です。
1年、5年、10年といった短期~長期のスパンで経営計画を策定し、売り上げ目標などのゴールを決めて事業に取り組むことになります。
②経営資源
実際に事業として活動を進めていくには資源が必要です。
まず実働部隊として働く人手が必要ですし、軍資金となるお金も必要です。
実働部隊が働けるようにパソコンや社用車などの備品も必要になります。
また自社生産物やサービスを買ってもらうにはマーケティングなども必要ですから、情報も重要なファクターになります。
ヒト・モノ・カネ、そして情報などの経営資源がないと、事業規模での経営はできません。
③マネジメント
実働部隊や軍資金、情報などの経営資源を適切に管理して企業の目的を達成するにはマネジメントが必要です。
会社の規模にもよりますが、一般的な中堅企業を想定すると社長も含めて役員クラスがトップマネージャーとなり、部長や課長などの中間管理職、係長や主任クラスなど小ユニットのリーダーが置かれることになるでしょう。
社長たる経営者はこれらすべてを束ねてマネジメントすることが求められます。
■経営で取り組むべき主な課題
では実際の経営で取り組むべき課題にどのようなものがあるか見てみます。
①人材の確保
近年は特に人手不足が深刻となっており、募集を掛けても応募者がなかなか集まらないという声が聞かれます。
働き手となる絶対数が少ないため各社で奪い合いになっている様相で、好条件を出しても採用できるとは限りません。
最近の働き手は給料よりも働きやすさを重視する傾向があるので、自社の魅力を感じてもらうためにも働く環境の整備に力点を置く必要があるでしょう。
②離職防止と人材育成
せっかく採用した働き手も簡単に辞めてしまって困る、という声は方々から聞こえます。
退職代行会社なるものも増えているようで、こうしたものも影響しているのかもしれませんが、根本的にはその会社と働き手との間に何らかの問題があって辞めるという行動に出るはずです。
働き手が辞めたいと思わない環境整備に力を入れるべきで、長期的な目線で人材育成も考える必要があります。
③収益の維持・拡大
営利企業である以上は利益を出し続けなければなりません。
企業経営上、現状維持は後退を意味するとされ、基本的には収益の拡大を図る姿勢が求められます。
④コスト改善
得られる利益を最大化するにはコスト改善も重要です。
無駄なコストを極力排して利益を最大化するには企業トップが強い意識を持って臨まないとなかなか上手くいきません。
⑤資金繰りの改善
企業経営において資金繰りの問題は常についてまわります。
経営者は会社のお金の流れを常に把握していなければならず、資金ショートが起きないように配慮して収入と支出のタイミングを管理することになります。
資金ショートの危機が生じた場合は緊急で資金調達が必要です。
緊急資金の確保にはファクタリングが有効ですので、この点は押さえておいて頂きたいですが、経営目線では中長期的な資金繰りにも問題が無いように配慮が求められます。
■まとめ
本章では「経営」の意味や定義、具体的に何をするのかについて見てきました。
ただ「経営」というと漠然としたイメージしか湧きませんが、経営の実務を担う社長としての仕事は多岐にわたります。
社長の成長と共に会社も成長していくものですから、厳しい面はあるとしても、ぜひ経営を楽しむという感覚で取り組んで頂きたいと思います。