通信システムの技術の進歩はめざましく、その恩恵は我々多くの日本国民が受けているところです。
通信技術は海外でも開発が進んでおり、技術開発は国際競争の要素も含んでいます。
技術開発に後れを取れば国力の低下を招き、安全保障や他の分野でも劣勢に立たされる恐れがあります。
本章では6G技術の開発がどうなっているか、また最近聞かれる携帯料金上昇などの話題も絡めて見ていきたいと思います。

現状、日本のデジタル競争力は低順位?

現状、日本のデジタル競争力は低順位?総務省総合通信基盤局が令和5年に公表した資料によると、日本のデジタル競争力は残念ながら優位に立っていません。
これはスイスの調査機関が調べた結果を流用したものですが、全68か国中、総合順位として日本は29位という位置になっています。
総合順位を上から順に見てみると以下のようになります。

1 位 デンマーク
2 位 米国
3 位 スウェーデン
4 位 シンガポール
5 位 スイス
6 位 オランダ
7 位 フィンランド
8 位 韓国
9 位 香港特別行政区
10位 カナダ
11 位 台湾
12 位 ノルウェー
13 位 UAE
14位 オーストラリア
15位 イスラエル
16位 英国
17 位 中国
18位 オーストリア


29位日本

さらに細分化された部門として、「知識」部門の順位は日本は28位、「技術」部門では30位、「将来への備え」部門では28位という順位になっています。
特に「知識」部門のうち国際経験の枠では最下位、「将来への備え」部門のビッグデータの活用と分析枠でも最下位となっているのが印象的です。
日本の技術はまだまだ戦えると思う反面、デジタル技術の競争力においては全く油断ならない結果となっています。
政府はデジタル人材の育成や獲得に力を入れていますが、人材獲得や育成の競争においても海外に後れを取っている状況で、この分野では今後も国を挙げて取り組む姿勢が求められます。

ワイヤレスビジネスの拡大は確実

ワイヤレスビジネスの拡大は確実国際競争力の面ではまだまだ伸びしろを持つ日本ですが、ワイヤレスビジネスは国内、海外問わず今後確実に拡大することが見込まれます。
総務省の見立てでは、2015年の市場規模が36兆円程度で、これが2030には92兆円、2040年には112兆円に拡大が見込まれると予想しています。
利用拡大がとくに予想される分野として、サービス業、商業・流通業、製造業、情報通信などの分野が挙げられています。

最新の移動通信システム「6G」とは

最新の移動通信システム「6G」とは現在の主要規格である5Gは、従来の4Gと比べて多数同時接続、低遅延、高速・大容量という強い利便性を有しています。
私たちも手元のスマホで大容量の動画を楽しんでいますが、これも5G技術のおかげというわけですね。
6G技術は5G技術のさらなる高度化が図られることになり、以下のような特徴を持ちます。

①自律性・・ゼロタッチで機器が自動で連携
②拡張性・・あらゆる場所で機器が相互連携
③超低消費電力・・現在の100分の1の電力で済む
④超安全・・セキュリティの常時確保、災害からの瞬時復旧
⑤超高速・大容量・・5Gの10倍
⑥超低遅延・・5Gの10分の1の遅延
⑦超多数同時接続・・5Gの10倍の接続数

このような特徴を持つ6G技術は2030年には主要な規格として運用されることが期待されています。

携帯料金は上昇圧力が

上昇圧力さて国内の携帯事業に目を向けると、各社が料金を値上げする傾向にあるとのニュースも聞こえてきます。
携帯料金を巡っては菅前首相の時代に料金の値下げ圧力がかかり、「官製値下げ」などと言われたこともありましたね。
これが最近になってまた料金の上昇圧力がかかっているとのことです。
現状では大幅な値上げを目立って実行するところはまだありませんが、直近の消費者物価指数を精査すると上昇の兆しが見えているという評価も聞かれます。
この背景には携帯各社の利益確保が難しくなっている事情が見え隠れしています。
高速通信が広く普及したことで通信量全般が増加し、利益の押し下げに苦しんだ携帯各社が低価格路線を変更したとの見立てが強いです。
また今後の6G普及を見据え技術開発やインフラ整備のための利益確保を考える必要性も考えられます。
すぐにダイレクトに料金の価格帯を上げる動きは今のところ見られませんが、例えばデータ通信量の上限を下げる、ポイントの付与率を下げるなど間接的に値上げを実施する所も出てくるかもしれません。
価格上昇の圧力がかかっていることは確かなので、時期的にいつ、どれくらいのインパクトで実行されるか、というところです。

料金値上げがもたらす影響は?

料金値上げがもたらす影響は?価格帯本体のダイレクトな上昇の前段階として、間接的な値上げの段階では大きな影響はないと思われます。
金銭的ダメージというよりは、これまでよりもお得が減ったな、くらいの感覚で済むからです。
これが本格的な値上げに動いた場合、個人の暮らしの面では家計に影響するでしょう。
携帯料金は家計に占める支出の中でも経常的にかかる費用で固定費の扱いになります。
固定費は一度上がると経常的に家計に負担を掛けますから、余裕のない家庭ではダメージが大きくなるかもしれません。
企業でも通信費上昇により経費負担が増加することになります。
企業も個人家計と同じように固定費の上昇となるので、経常的な支出の増加をもたらします。
元々通信費の支出が多い企業は警戒が必要かもしれません。
ただし携帯料金を上げる場合でも必要最低限に止められるでしょうから、影響は限定的と思われます。
それでも長期目線で料金上昇を検討する可能性もあるので、やはり警戒は必要です。

まとめ

この回では現状の日本のデジタル競争力の位置を見ながら、今後の主流規格となる6G技術について、また最近聞かれる携帯料金上昇などの話題も一緒に見てきました。
現状、日本のデジタル技術は国際的な競争力の面で優位に立っているとは言えない状況です。
むしろ海外諸国に後れを取っている立ち位置ですので、国を挙げて人材育成や技術開発に取り組む必要があります。
この分野で後れを取ることはデジタル技術の話に止まらず、様々な方面で負の影響をもたらすことになります。
国内の各分野で技術面、人材面の開発・育成に取り組んで頂きたいと考えます。