「資金繰りが苦しい」と感じたとき、多くの経営者が「どこかからお金を借りなければ」と考えます。しかし、借りることが本当に必要かどうかは、その前に確認すべきことがあります。「苦しい」という感覚は正確なことも多いですが、状況を整理するだけで選択肢が増えたり、焦り和らいだりすることも多いです。
私たちスタッフが日々のご相談の中で感じることは、「問題が起きる前に相談してくれれば、もっと選択肢があったのに」ということです。資金繰りの苦しさを感じた段階では、まだ多くの手が打てます。この記事では、「資金繰りが苦しい」と感じたときに最初に取り組むべき3つのことを、スタッフの視点でお伝えします。

なぜ「最初の動き」が重要なのか

なぜ「最初の動き」が重要なのか資金繰りの問題は、時間が経てば経つほど選択肢が狭まります。支払い期日の3週間前に動くのと、3日前に動くのとでは、利用できる手段がまったく異なります。3週間前であれば、融資・ファクタリング・補助金など複数の手段を比較検討する余裕があります。3日前になると、スピードだけを最優先にした選択を迫られ、結果的に手数料や金利が高い手段を選ばざるを得なくなることがあります。
また、「苦しい」という感覚を持ちながら何も動かないでいると、状況は必ず悪化します。感覚を持ったその瞬間が、行動のベストタイミングです。まず何をすべきかを整理しておくことで、焦らず的確に動き出せます。

やるべきこと①:今の資金状況を「数字で」把握する

やるべきこと①:今の資金状況を「数字で」把握する苦しい」という感覚は正しいことも多いですが、まず数字で状況を把握することが最初のステップです。感覚ではなく数字で見ることで、問題の深刻さと緊急性が明確になり、次の行動を決めやすくなります。確認すべき数字は5つです。

①現在の銀行残高(口座全体の合計)
②今後1ヶ月以内に発生する支払い総額(給与・家賃・税金・外注費など)
③今後1ヶ月以内に入金される予定の金額(入金予定日が確定しているもの)
④売掛金の総残高(未回収の請求書合計)
⑤①+③-②=1ヶ月後の残高見込み

の5つを確認するだけで「実際いつ・いくら足りなくなるのか」が見えてきます。「苦しい」という感覚が実は来月以降の問題であれば、対応に余裕があります。今月末が本当にギリギリなのであれば、即日対応できる手段を優先すべきです。問題の規模とタイムラインを数字で把握することが、焦りを和らげ、冷静な判断を可能にします。

やるべきこと②:「動かせるお金」を探す

やるべきこと②:「動かせるお金」を探す資金調達の前に、まず社内に「動かせるお金」がないかを確認することが重要です。意外と見落とされているリソースが存在することがあります。
まず確認したいのが「未回収の売掛金」です。請求書を出したまま確認を怠っていた入金遅延がないかを確認しましょう。入金予定日を過ぎているにもかかわらず未着金の請求書があれば、すぐに取引先に連絡を入れることで、数日以内に入金されるケースは多いです。また、売掛金が複数あれば、そのうちの一部をファクタリングで早期現金化できる可能性があります。
次に「不要な在庫や遊休資産」がないかを確認します。処分できる在庫、使っていない設備や備品——これらを売却することで、一定の現金を生み出せることがあります。金額は大きくないかもしれませんが、短期的な資金の穴を埋めるための一手になることがあります。
また、「前払いしている費用のキャンセル・返金」も確認に値します。不要になったサービスの前払い分、キャンセル可能な契約の保証金など、返金してもらえる可能性のあるものがないかを洗い出しましょう。社内にある「眠っているお金」を活用してから外部調達を検討することで、調達コスト最小化できます。

やるべきこと③:「使える手段」をリストアップして選択する

やるべきこと③:「使える手段」をリストアップして選択する社内で動かせるお金を確認したうえで、それでも不足が見込まれる場合は外部からの資金調達を検討します。このとき重要なのは、「焦りの中で最初に目についた手段」を即座に選ぶのではなく、使える選択肢を一度リストアップしてから比較することです。
主な選択肢を整理すると以下の通りです。

資金調達方法 内容
ファクタリング 最短即日対応。売掛先の信用力次第で赤字・滞納中でも可。手数料2〜20%。売掛金がある場合に有効。
日本政策金融公庫・制度融資 金利は低いが審査に2〜4週間かかる。急ぎの場合は不向き。財務状況が良好な企業向け。
銀行の当座貸越・短期融資 既存取引銀行で枠を持っていれば即日引き出しも可能。新規設定には審査が必要。
ビジネスローン 審査が比較的速い。金利は高め(年利10〜15%程度)。短期での返済が前提。
取引先への支払い猶予交渉 外注先や仕入先に対して、一時的な支払いの先送りをお願いする。関係性によっては対応してもらえることも。
この中から ①今月末までに必要かどうか(緊急度)②利用可能かどうか(要件の確認)③コストはいくらか(手数料・金利) の3軸で比較し、自社の状況に最も合う手段を選びます。

相談するタイミングは「まだ大丈夫」と思っているとき

相談するタイミングは「まだ大丈夫」と思っているとき私たちがお客様にいつもお伝えしていることがあります。「まだ大丈夫と思っているうちに相談してほしい」ということです。
「ギリギリになってから相談する」という経営者は多いですが、ギリギリの状態での相談では、スピード優先の選択になりやすく、コストの比較や条件の精査が十分にできません。一方、「苦しいかもしれない」という段階で相談してくださる経営者は、選択肢を比較する余裕があり、結果として最もコストが低く、自社に合った手段を選べています。
「こんなことで相談してもいいのか」という遠慮は無用です。どんな段階でも、相談することで状況が整理され、見えていなかった選択肢が見つかることがあります。

まとめ

まとめ資金繰りが苦しいと感じたらまず①数字で現状把握②社内の動かせるお金を探す③使える手段をリストアップして比較する、という3ステップで動きましょう。焦りの中で最初の選択肢に飛びつくのではなく、選択肢を整理してから動くことで、コストを抑えた対応ができます。そして何より、「まだ大丈夫」と思っている段階での早期相談が、最も多くの選択肢を生み出します。

よくある質問

Q1「資金繰りが苦しい」とはどの状態のことを指しますか?
A. 「1ヶ月以内に入金予定額より支払い予定額のほうが多い」または「手元資金が月の固定費の1ヶ月分を下回っている」状態が、資金繰りが苦しい状態の目安です。感覚的に不安を感じているなら、まず数字で確認することをお勧めします。
Q2売掛金の回収交渉は取引先との関係を壊しませんか?
A. 適切な方法で行えば関係を壊すことはありません。「〇日が入金予定日でしたが未着金を確認できておりません。ご確認いただけますか」というシンプルな確認であれば、担当者のミスや処理漏れの場合がほとんどで、すぐに対応してもらえることが多いです。
Q3相談した場合、必ず契約しなければなりませんか?
A. ご相談のみでも歓迎しています。状況を整理するだけで解決策が見つかることもあります。ご相談いただいたからといって、契約を強要することはありません。

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