私たちの普段の生活にテクノロジーは深く関係し、そのおかげで意識していなくても便利な生活をおくれています。
あらゆる分野で貢献を見せるテクノロジーは金融分野でも存分に真価を発揮しています。
金融分野におけるテック技術を特に「フィンテック」と称し、これは金融を意味する「Finance」と「Technology」を組み合わせた造語です。
本章ではフィンテックがどのようなメリットをもたらしているのか、また実社会でどのように活用されているのか活用事例などを見ながら、フィンテック活用のヒントを探ってみましょう。
フィンテックは決済と取引の効率化をもたらす
一般企業がフィンテックを活用するメリットとしては、まず決済方法を多様化することで顧客満足度を高めたり、新規顧客の誘引が可能になることが挙げられます。
モバイル決済やデジタルウォレットを導入することで、顧客はスマートフォンやタブレットを使用して簡単に支払いを行うことができます。
例えばレストランや小売店ではApple PayやGoogle Pay、PayPayなどのモバイル決済サービスを導入することで、現金やクレジットカードに代わる便利な支払い方法を提供できます。
またオンラインで取引プラットフォームを構築することで、企業は顧客に対して24時間365日の取引サービスを提供することができます。
自社販売サイトを構築して製品やサービスを販売できるので、顧客はいつでもどこでも商品やサービスを購入できます。
Eコマース企業はこの恩恵を多分に受けることができ、ウェブサイトやモバイルアプリを通じてオンライン取引を提供すれば、顧客がスマートフォンやPCから簡単に商品を購入できます。
資金調達と投資の多様化
近年利用が急増しているクラウドファンディングもフィンテックを活用しています。
クラウドファンディングはインターネットを通じて個人や企業から少額ずつの資金を集める方法で、銀行融資に頼らずにプロジェクトやビジネスを立ち上げることができます。
新製品の開発やマーケティング、キャンペーンなどの資金をクラウドファンディングで調達し、支援者に対して開発した製品やサービスを還元することでビジネスモデルの構築が可能です。
よりダイレクトな資金調達手法としてP2P(ピアツーピア)レンディングがあり、これは個人間での貸し借りを可能にするオンラインプラットフォームで、銀行を介さずに融資を受けることができます。
データ分析とリスク管理の強化
フィンテックを基に、ビッグデータとAI(人工知能)を利用してデータ分析やリスク管理をすることもできます。
大量のデータを分析することで顧客の行動パターンや購買傾向を把握し、マーケティング戦略や商品開発に役立てることができます。
またリスク管理においてはAIを活用して不正取引やリスクを早期に検出し、迅速に対策を講じることができます。
フィンテックの導入事例
ここではフィンテックの活用事例をいくつか見ていきます。
①医療業界における事例
医療業界ではフィンテック技術を活用したテレメディシンが行われています。
いわゆる「遠隔医療」というもので、フィンテックを用いることで物理的な距離を越えて診療を行うことが可能になります。
モバイルアプリを通じて患者は自宅から医師に相談することができ、必要な診断や治療を受けることができます。
特に遠隔地に住む患者や移動が困難な患者にとっては医療アクセスが飛躍的に向上します。
また医療機関側も診療の効率が上がり、より多くの患者をサポートできるようになります。
決済手段としてフィンテックが実装されているので、自宅に居ながら受診と支払いを済ませられます。
②教育業界における事例
コロナ禍では学校が閉鎖されたため、パソコンやタブレットなどを活用して遠隔教育が実施されました。
これは記憶に新しいですが、実は一般の学校に限らず、またコロナなど社会的な情勢に関係なく、各種資格学校や予備校、また一部の私立の学校などでは通信教育によるサービスが普通に提供されています。
こうしたサービスを受けるにあたっては遠隔での決済や動画コンテンツの視聴などでフィンテックが用いられます。
また一般の学校でも学費管理や奨学金制度の効率化を図ることができます。
学生はオンラインプラットフォームを通じて学費を支払い、奨学金の申請手続きもネット上から行うことができます。
③製造業における事例
製造業ではフィンテックを活用することでサプライチェーンの最適化が可能になります。
サプライチェーン全体の透明性とトレーサビリティが向上し、効率的なリソース管理が可能となります。
またAIを活用して需要予測や在庫管理を行い、製品の供給を最適化することができ、これによりコスト削減や顧客満足度の向上が期待されます。
そして製造業においてはスマートファクトリーの概念が生まれているのでぜひ押さえておきましょう。
スマートファクトリーは自動化された工場です。
IoT(モノのインターネット)やAI、ロボティクスを駆使して生産プロセスを自動化し、効率的な生産体制を実現します。
リアルタイムでのデータ収集と分析を行うことで、生産ラインの最適化や故障予知、品質管理が可能となり、製造コストの削減と生産性の向上が図れます。
まとめ
本章ではフィンテックがもたらすメリットや実際の活用事例などについて見てきました。
フィンテックは特定の業界に限ったものではなく、あらゆる業種、業界で活用されています。
すでに自然と導入されているため意識されないことの方が多いかもしれません。
よりダイレクトに恩恵にあずかれるのはEコマースに相性の良い業態で、自社製品やサービスを電子商取引で販売できる業種は特に利点が大きいと思われます。
物販だけでなく、例えば整体やマッサージなどの予約販売でも活用されていますし、これに限らず工夫次第で多くの業種で活用が可能です。
より効率的な経営を模索する際のソリューションとしてぜひフィンテックの活用を考えてみてください。