金融や経済の事を知りたいと思って勉強しようとしても、社会人は適切な学習機会を得られることが少ないかもしれません。
教養のために大学に入り直すのはハードルが高いでしょうし、金融や経済に関する公的な教育機関はかなり限られます。
スポット的に金融教育を提供する機関はないわけではありませんが、それでも忙しい現代の社会人にとってはハードルは高めです。
そのような人でも、金融関連の書籍であれば気軽に手に取れますし、映画など娯楽要素が強いものでも一定の学びを得られるものがあります。
この回では金融経済の素養を高めることができる書籍や映画などでお勧めできるものをいくつか挙げて見ていきます。

『ブラック・スワン』

『ブラック・スワン』

ナシーム・ニコラス・タレブ の『ブラック・スワン』は、金融市場や経済における「ブラック・スワン」現象について取り上げて解説しています。
リスク管理の重要性を説くと同時に、予期しない出来事がどのように経済や社会に影響を与えるかについて掘り下げています。
リスク管理をするための具体的な手法や考え方も紹介しており、実務的な知識を得ることができます。

『フリー・マーケット・キャピタリズム』

『フリー・マーケット・キャピタリズム』

ミルトン・フリードマン著の本書は、自由市場経済の利点とその影響について取り上げています。
社会人ではなかなか学ぶ機会が少ない経済学の基本原則を理解することができるので、学び直しにもつがなります。
政府の介入を最小限に抑え、市場の自由競争を促進することで経済の効率性を最大化するという考え方に基づいた内容となっています。
難しい内容も分かりやすく論理立てて示されているので、経済学の初心者でもとっつきやすいと思われます。

『マネー・ボール』

『マネー・ボール』

マイケル・ルイス著の本書はオークランドアスレチックスのゼネラルマネージャー、ビリー・ビーンが、どのようにして統計分析を駆使してチームを成功に導いたかを描いています。
金融市場におけるデータ分析の重要性を意識する経営者やビジネスパーソンにお勧めできる内容です。
内容面では、従来のスカウティング手法にとらわれず、データと統計を活用することで競争優位を築いたことが立証されています。
データ分析の具体的な手法やその結果をわかりやすく説明しており、実務に役立てることもできます。

『フリー・フォール』

『フリー・フォール』

ジョセフ・E・スティグリッツ スティグリッツ著の本書は、2008年の金融危機について詳細に分析した上で、その原因と結果を論じる内容です。
金融市場の脆弱性とリスク管理の重要性が説かれており、具体的な事例を挙げながら金融システムの問題点とその改善策について詳しく解説されています。

『リーマン・ショック・コンフィデンシャル』

『リーマン・ショック・コンフィデンシャル』

アンドリュー・ロス・ソーキン著の本書は、リーマン・ブラザーズの破綻を中心にして2008年の金融危機の内幕を描いています。
当事者のインタビューを基に、金融市場の崩壊の経緯が詳細に記述されていて非常に興味深い内容となっています。
金融危機の全貌を理解できると共に、この業界の複雑さを知るための資料ともなり得ます。

『ウォール街』 (1987年)

『ウォール街』 (1987年)

ここからは映画について取り上げます。
オリバー・ストーン監督のこの映画は、1980年代のウォール街を舞台にした野心的な若手トレーダーとそのメンターの物語を描いています。
金融市場の裏側や倫理的な問題について考えさせられる作品です。
主人公のバド・フォックスは成功を求めて欲望に駆られながらも、自分の信念と倫理観に葛藤します。
金融業界の光と影をリアルに描いており、視聴者に多くを考えさせるものがあります。
金融取引や企業買収のプロセスについても詳しく描かれているのが特徴です。

『マネー・ショート』 (2015年)

『マネー・ショート』 (2015年)

アダム・マッケイ監督のこの映画は2008年の金融危機を題材にしています。
金融市場の崩壊を予測した一部の投資家たちの視点から描かれており、金融危機の原因やその影響を知ることができます。
映画は実際の出来事に基づいており、観客に金融業界の複雑さと脆弱性を伝えています。
キャストにはクリスチャン・ベール、スティーヴ・カレル、ライアン・ゴズリングなどが名を連ねており、その演技力も見どころの一つです。
専門用語や金融取引のプロセスが視覚的にわかりやすく説明されており、リアリティを感じさせます。

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 (2013年)

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 (2013年)

マーティン・スコセッシ監督のこの映画は、ジョーダン・ベルフォートの自伝を基にしています。
ベルフォートはウォール街での成功とその後の転落を経験した人物です。
映画はベルフォートの豪華なライフスタイルとその背後にある欺瞞とスキャンダルを生々しく描写しています。
主演のレオナルド・ディカプリオの熱演も見どころです。

『インサイド・ジョブ』 (2010年)

『インサイド・ジョブ』 (2010年)

このドキュメンタリー映画は2008年の金融危機を扱っています。
金融業界の内部事情を知ることができる作品です。
監督のチャールズ・ファーガソンは、金融危機の責任者たちに対する批判とともに、金融システムの欠陥について訴えています。

まとめ

この回では金融経済の素養を高めることができるお勧めの書籍や映画をいくつか挙げて見てきました。
金融や経済の勉強となるとちょっと気後れしてしまいますが、本や映画なら気軽に試せますし、娯楽を得ながら勉強にもなるので一石二鳥です。
週末の有意義な時間の過ごし方として金融書籍や映画をぜひ楽しんでくださいね。