日本で長らく続いたマイナス金利政策が終わり、ついに金利のある世界が戻ってきました。
金利の上昇は個人単位では利息利益の増加による恩恵があるものの、事業者目線では貸出金利上昇による借り入れ負担の増加が心配です。
ファクタリングは借り入れや融資とは異なり返済の必要がなく、利息の負担という概念もありません。
自力による資金調達が叶う手段として人気があるので、これまで融資に頼りきりだった事業者の方にもぜひファクタリングの利点や仕組みを知って頂きたいと思います。
本章ではファクタリング利用における取引の種類や選び方、メリット・デメリットなどについて詳しく解説していきますので、ぜひ参考になさってください。
ファクタリングには二種類ある
ファクタリングは企業が保有する売掛債権を現金化して事業資金とするものです。
掛け取引を行っている会社で商品やサービスを売る側は取引先に対して売掛金を保有することになり、その債権を早期現金化するのがファクタリングです。
実際のファクタリング取り引きには二社間取引と三社間取引の二種類があるので、この違いを押さえておきましょう。
二社間取引は売掛債権を譲渡する会社と債権を買い取るファクタリング業者の二社間で進める方法で、売掛先の会社は取り引きに関与しません。
そのため売掛債権の譲渡について取引先に知られることなく資金調達が可能です。
売掛先に知られずにどうやってファクタリングを行うのか、二社間取引で進める流れを確認します。
①債権譲渡企業とファクタリング業者が契約を締結
②売掛金の支払期日に通常通りの支払いがなされる
③債権を譲渡した会社がファクタリング業者に②の資金を移転する
売掛先の会社はファクタリングの事実を知らないので、売掛金の支払期日になると通常通りに支払いを行います。
つまり債権を譲渡した会社の口座に売掛金が入金されるわけですが、この資金を債権譲渡企業がファクタリング業者に移転します。
①の契約をもってすでに売掛金の権利はファクタリング業者に移っているので、債権譲渡企業は支払われた売掛金を他の支払いなどに流用してしまわないように注意しなければなりません。
一方、三社間ファクタリングでは売掛先の会社も取引当事者になってもらいます。
事情を話して売掛先の合意が取れる場合は三社間取引が可能で、この場合は債権譲渡企業の負担が減ります。
三社間取引の流れは以下のようになります。
①売掛先の合意を取る
②債権譲渡企業、売掛先企業、ファクタリング業者の三者で契約を締結
③売掛金の支払期日に、売掛先からファクタリング業者に直接支払いがなされる
三社間取引では期日になると売掛先からファクタリング業者に直接支払いがなされるので、債権譲渡企業を経由することなく資金移動が終了します。
そのため意図せずとも資金の使い込みをしてしまう心配が要りません。
このように売掛先の会社がファクタリングに関与するかどうかが大きな違いとなりますが、これにより二社間取引と三社間取引でメリット・デメリットが分かれてきます。
次の項からはそれぞれのメリット・デメリットについて詳しく見ていきます。
二社間取引のメリット・デメリット
まずは二社間取引のメリット、デメリットから見ていきます。
<メリット>
①即日の資金調達が可能
二社間取引では売掛先の関与がないので、合意を取り付けるなどの手間や時間がかかりません。
債権譲渡企業とファクタリング業者で契約するだけなので、早ければ当日中に資金調達が叶います。
ファクタリングは融資のような「返済」という概念がないので保証人や担保の用意は一切不要ですから、経営状態を詳しく評価したり、担保や保証人の担保力、保証力の審査も不要です。
二社間取引では、売掛金の存在を示す資料などのチェックが済めばすぐに買取代金の支払いを受けられます。
②信用面で影響が出ない
二者間取引は売掛先に知られずに進められますから、信用面で影響が出ることを避けられます。
債権譲渡の事実を知られることで今後の取引に影響が出そうな場合は二社間取引が安全です。
ちなみにファクタリングは貸金取引ではないので、信用情報機関に情報が登録されるといった心配も要りません。
信用情報機関に登録されると、新規の取引先開拓などの際に情報開示を求められることがあり、悪い影響が出ることがあります。
ファクタリングではこのような心配は一切要りません。
③デフォルトリスクを回避できる
二社間ファクタリングは売掛先のデフォルトリスクを回避できます。
ファクタリングを利用して売掛債権を譲渡した後、万が一売掛先が倒産するなどして資金の回収が望めなくなった場合でも、債権譲渡企業はその責任を負わずに済みます。
万が一そのような事態になった場合、そのリスクはファクタリング業者が負うので債権の買戻しなど償還請求に応じる必要はありません。
<デメリット>
二社間取引には以下のようなデメリットがあるので押さえておきましょう。
①手数料が高くなる
二社間取引では売掛先の合意がない分、ファクタリング業者としては資金の回収リスクを考慮することになり、その分手数料の面で負担が増えます。
個別取引における諸事情によって手数料は変動が出るものの、二社間取引のファクタリング手数料は債権価額の10%~30%程度となることが多いです。
②債権譲渡登記が必要になることもある
債権譲渡登記とは、売掛債権の譲渡があった事実を登記の形で登録するものです。
公的な登記という形で公開されるため、債権の二重譲渡などの不正行為を防ぐことができます。
ファクタリング業者のリスクを避けるため、二社間取引では債権譲渡登記を行うことが多く、その費用負担はファクタリング利用者(債権譲渡企業)が担います。
また債権譲渡登記は誰でも閲覧できるため、もし売掛先の会社がチェックすれば債権譲渡の事実を知られる可能性があります。
ただし何もないのに登記を調べられることはありませんから、登記をしたとしても相手方に知られる心配はほぼないと考えて差し支えありません。
なお弊社では債権譲渡登記を避けたいとお考えの方に対しては、諸事情を考慮の上で登記なしで進められるよう最大限の配慮を持って進めております。
③資金移転の手間と費用がかかる
上でも見たように、二社間取引では売掛先から通常通りに支払いがなされるので、債権を譲渡した会社の責任においてその資金をファクタリング業者に移転する必要があります。
その際の振込手数料などの実費負担が生じることと、手間の面で面倒が生じることは否めません。
もし意図せずともファクタリング業者に移転すべき資金を使い込んでしまった場合、所有権の無い資金を勝手に使い込んだとして民事、刑事両方の法的な責任を問われることになります。
実務上では、経営者以外の資金管理スタッフが間違って他の支払いに資金を流用してしまったというケースもあるので、資金の使い込みが発生しないよう、経営者とスタッフの間でしっかりと意思疎通を図っておく必要があります。
三社間取引のメリット・デメリット
次に三社間取引のメリット・デメリットを見てみましょう。
<メリット>
①手数料が優遇される
三社間取引では売掛先の会社の合意を取って進めることになり、取引当事者となってもらうので契約書にも署名押印してもらいます。
責任をもって売掛金の支払いを受けられるので、ファクタリング業者にとって資金回収のリスクがほぼなくなります。
そのため手数料をかなり下げることができ、個別のケースにもよりますが債権価額の2%~9%程度に抑えることができます。
②資金移動の手間と費用負担が無い
三社間取引では債権譲渡企業を経由せず、売掛金がファクタリング業者にダイレクトに支払われるので、債権譲渡企業は資金移転にかかる手数料や手間を払う必要がありません。
意図しない使い込みのリスクも避けられます。
③債権譲渡登記が不要
三社間取引では売掛先の合意を取る前提ですから、ファクタリング業者にとって債権の二重譲渡によるリスクがありません。
ですから債権譲渡登記が不要になり、これにかかる費用負担の発生もありません。
④審査に受かりやすい
売掛先の合意を取り付けられることは、取引全体のリスク低減につながります。
売掛先の積極的な協力があればファクタリング業者は安心して債権の買い取りに応じられるので、全体として審査のハードルが下がり資金調達の可能性が上がります。
<デメリット>
三社間取引のデメリットとしては以下が考えられます。
①多少時間がかかる
三社間取引では売掛先の合意を取りつけるのに多少時間がかかります。
ファクタリングについて理解がない場合は基本的な説明からしなければならず、説明しても納得が得られなければ三社間取引は実現しません。
基本的にはファクタリングの実施までに数日程度を要すことが多いため、「明日までに現金が必要」といった緊急性の非常に高い事案では間に合わないこともあります。
②信用面で影響が出る可能性
売掛先企業が取引当事者となるためファクタリングの利用を当然相手方に知られることになります。
これにより将来的に信用面に影響が出る可能性については考慮する必要があるでしょう。
もっとも、最近はファクタリングは一般化してきていますし、政府も流動債権を活用した資金調達は強く推進しているところですので、ファクタリングの利用を知られたとしても影響が出ないケースも増えています。
信用面に影響が出るかどうかは双方の企業間の関係や業界の体質などによってかなり変わってくるので、個別の事案で吟味が必要です。
現在の取引はオンラインファクタリングが主流
ファクタリングの取引には二社間と三社間の異なるタイプの取引形態があることを見てきました。
一昔前までは利用企業の担当者や経営者がファクタリング業者の事務所に出向き、関係資料を提出したり面談を受けるなどして、上記で見た二社間、三社間取引にかかる契約書の署名押印を行っていました。
いまでもこうした手間のかかることをやっている業者もいるようですが、最近はフィンテック技術が進化しており、決済までを含めた取引の進行を全てWEB上で行えるようになっています。
弊社ではいち早く完全WEB取引を実施できる仕組みを導入しておりますので、事前のご相談から審査書類の提出、審査結果の通知、契約の締結まで全てをWEB上で完結できます。
利用者の方は会社のパソコン上で全ての手続きを済ませられるので、紙の資料を郵送したり、契約書に署名して送り返すなどの手間は一切要しません。
契約は電子契約書を採用していますから紙ベースのやり取りは一切生じない仕組みになっています。
完全オンラインファクタリングを導入したことで地理的な要素が一切排除されることになり、全国どこからでもご利用頂けるようになりました。
ファクタリングはそもそも業種に関係なく売掛債権があれば利用できるもので、さらに地理的な要素も外れましたので、弊社では全国各地からあらゆる業種の方々にファクタリングを利用頂いております。
伝統的にファクタリングと相性の良い建設業や運輸・運送業、製造業の方はもちろん、不動産資産を持たないために担保資力がなく資金調達が難しいIT事業者の方や、入金と支払いのサイト管理が難しい人材派遣業などで利用件数が増えています。
その他にも業種に関係なく、また小口、大口問わず多数のご相談を頂いております。
弊社の公式サイトではAIによる10秒査定を無料でお使いいただけるようになっておりますので、本格的な相談をする前にどれくらいの資金調達が望めるか知りたいとお考えの方はぜひお試し頂ければと思います。
弊社では他社からの乗り換えの相談にも丁寧に対応しておりますので、より手数料負担の低いところに乗り換えをしたいケースでもぜひご相談を頂けますと幸いです。
まとめ
本章ではファクタリング取引の種類やメリット・デメリットなどについて詳しく見てきました。
ファクタリングには二社間取引と三社間取引の二つの形態があり、売掛先が取引に関与するかどうかで手数料や資金調達までのスピード、信用面への影響などに違いが出ます。
どちらが良いか判断が付きにくい場合は弊社で状況を整理してより望ましい取引形態を提案差し上げますのでお気軽にご相談ください。
弊社では来所や対面での面談、書面のやり取りなど手間のかかる手続きを排した完全オンラインファクタリングが可能になっております。
売掛債権とWEB環境があれば最短当日中に手元資金を確保して頂けますので、資金繰りに問題が生じた際にお気軽にご相談頂ければ幸いです。