人間に近いやり取りができるAI技術が世に登場してから数年が経ち、色々と問題が指摘されながらも技術開発やテクノロジーの深化は止まることがありません。
一度解放されたこの世界はとことん突き詰められていくでしょうし、その恩恵はビジネス分野にも大いにもたらされることでしょう。
AIがビジネスの根幹にまで深く入り込むようになった今日、ビジネスモデルが作り替えられようとしている分野が続出しています。
AIがどのように我々の世界を変えてくれるのか、本章では人工知能の活用事例を見ていきたいと思います。

AI技術の活用事例

AI技術の活用事例

AIの人工知能はいまやあらゆる分野で活用されていますが、その中でも活用が利きやすい業界や業種、業態があります。
ここではAIが上手く活用されている事例を取り上げて見ていきます。

①小売業
街中に無人店舗が増え始めたのはいつくらいからだったでしょうか。
個人的な記憶では本格的なAIが登場する以前から無人店舗は存在していました。
ただ昔の無人店舗はAI技術がないので、コインロッカーを改造した販売機を設置したり、そのような設備もなく、地方の道端にある無人野菜直売所のような形で放置するようなタイプしかありませんでした。
売り上げをごまかせたり他人が支払ったお金を持ち去ったりできるような性善説に沿った経営はナンセンスに思えますが、AI技術を導入することで顔認識や店内の人数把握なども自動でできる時代になっています。
事前に認証した人物しか店内に入れないようにすることもでき、無人書店などはこの仕組みを導入する所が多いですね。
商品の決済も無人で済ませられるので、まさに自動販売機型ビジネスが店舗レベルでできる時代になってます。
また小売業界では需要の予測にもAIが役立てられています。
顧客の消費行動をスキャンして商品ごとの需要予測を行い、必要と思われる分だけ商品を補充したり生産すれば済むので、余計な在庫を抱えるリスクも低減できます。

②製造業
製造業では膨大な数の機材や部品、商品を製造しており、これらに欠陥がないかどうかをチェックする体制に相当の負担がかかります。
人の目による目視に頼る場合は人件費がかかりますし、人間のやることですから欠陥に気づかずにスルーしてしまう恐れもあります。
AIは画像認識が得意なので、製品の欠陥をスキャンしてすぐさまエラーを発してくれますからミスが起きにくく、多くの人員を投入しなくて済むので人件費もかかりません。
また出荷量と生産量を自動で管理して在庫管理を自動で行うシステムも導入されています。
今いくらの在庫があって、いつどのくらいの出荷を予定しているから、新たにいくらの補充が必要だ、といった在庫管理を自動で行ってくれるので、担当者が帳簿をチェックして在庫管理をする手間を省けます。
人的資源を別の生産性のある方面に集中できるので生産性も向上します。

③飲食業
従来は人の手で作るのが普通だった食品もいまやAIなどテック技術を使って機械が製造することが多くなりました。
目の前で職人さんが握る寿司やピザ職人が焼き上げるピザは格別ですが、こうした職人さんが見えないお店では裏でAIテックを活用した機械が製品を作っていることが多いです。
職人さんの技術もさることながら、AI技術は正確さに自信がありますから、全ての製品を均一に作り上げられる強みがあります。
実際、機械が作ったピザでも味は変わらないので、よっぽどの食通の人でなければ問題はないでしょう。

④金融
銀行も今ではネットバンクを主流にしたいと考えて店舗を縮小したり、通帳の新規発行を控える姿勢を取っています。
対面のやり取りが減る中で不正取引のリスクが増しますから、不正検知にAIの技術が導入されています。
クレジットカードの不正検知にも導入されていて、24時間自動で不正検知に取り組んでくれるので人件費の面でも助かっていることでしょう。
貸し付け方面では自動スコアリングによる査定を可能にし、より迅速でリスクの少ない取引に貢献しています。

⑤医療
画像の読み取りが得意なAIはガンなどの非正常組織の画像を素早く読み取り、診断の支援をしてくれます。
従来は経験の豊富な医師が画像診断をするしかなく、一部は見落としがでる事もありました。

また医師不足の地域では熟練医師がおらず、未熟な医師が画像診断をしてやはり見落としが生じることもありました。
胃がんや大腸がんなど組織の異変を察知する能力はAIの得意とするところで、医師の診断前の事前スクリーニングに活用するなどして医療スタッフの負担軽減に役立てられています。

⑥介護
介護施設では人手不足で十分なスタッフを配置できず、サービスの質の低下が指摘されることが多くなっています。
実際に介護施設の倒産件数は近年急上昇していて、超高齢化する我が国において介護難民の問題にまで発展しようとしている様相です。
そのような中、AIの画像検知システムを活用して利用者の生活の見守りやバイタル管理などを行う事業者もいて、こうした最新テックを活用できる事業者とそうでない事業者で経営面でも大きな差が出てくると思われます。

⑦建築・交通
近年、国内の交通インフラの老朽化や建物の老朽化による各種の弊害が露呈してきています。
橋などのインフラ設備が老朽化し改修が必要とされているものが非常に多いのに、これに掛けられる改修費用や点検費用が捻出できないため放置されるケースが多いのです。
トンネルの崩落事故も老朽化が原因であることが多く、事故発生の際には被害が大きくなる傾向にあります。
点検するだけでも人件費や機材などにかかる費用が馬鹿にならないので、自治体も長く頭を悩ませてきました。
これがAI技術を上手く使うことで画像診断が容易になり、ドローン技術と併用して高所や橋の下など検査や審査が難しい個所の点検に役立てられています。

⑧農業
農業方面では今「スマート農業」がキーワードになっています。
最新技術を活用して、少しでも負担が少なく、かつ利益を最大化できる仕組みづくりが盛んです。
AI技術ももちろん人気で、例えば農薬散布の際にドローンにカメラを積んで画像処理をこなしながら均一に農薬を散布できる技術も導入されています。
従来の農業はきつい、汚いといった負のイメージが強く避けられがちでしかたが、今では最新の技術を積極的に導入する業界の一つになっています。

⑨防犯
防犯技術にもAIが多く導入されています。
防犯カメラは人が監視できる日中だけでなく夜間でも24時間不審な動きを検知してくれますし、必要に応じて離れた個所からでも管理者に通報してくれる仕組みもあります。
ビルなど複数の事業者が入る商業用建物では多くのカメラを使って集中管理することもあるでしょう。
数多くの画像を管理して不正を検知するのもAIの得意とするところで、少ない人員で警備をカバーするのにAIが役立っています。

AIに今後期待する分野

AIに今後期待する分野

AIは多くの業界で役立てられていて、今後もその強みを生かして便利な世の中を作ってくれると思います。
個人的にAIに期待することとして、即時自動翻訳がもっと便利に使えるようになるといいなと考えます。
自動翻訳機はこれまでもありましたし、リアルタイムで翻訳できるとうたう翻訳機も使ったことがあるのですが、やはりどうしてもタイムラグが生じて自由度は高くないと感じました。
言語の習得は非常に時間がかかる上に、どれだけ時間をかけてもネイティブと同じようにはなれません。
すらすら会話できるようになるまでは人生の非常に多くの時間を投下しなければならず非効率です。
ドラえもんの「翻訳こんにゃく」というアイテムがあったのをご存じの方もいらっしゃると思います。
あのくらい自然に、リアルタイムでの翻訳が叶うと嬉しいのですが、AIの進歩のスピードを見るとそう遠くない時期に願いが叶いそうな勢いです。
ビジネス実務ではカスタマーサービスなどで活用できると思うので、この方面のAIの進化も期待したいところです。

まとめ

まとめ

この回ではAIが変えるビジネスモデル、人工知能の活用事例を見てきました。
AIの進化、深化はとどまるところを知りません。
開発競争は各国で繰り広げられているので、日本も後れを取らないように積極的に取り組んでほしいですね。
不正利用など心配される面があるのも事実ですが、良い側面を存分に発展させてより良い社会づくりに寄与してもらえればと思います。