近年の企業経営においてはコンプライアンス遵守の重要性が日増しに高まっている印象を受けます。
法令順守はもちろん大切なことですが、スキャンダルなど私的な問題で足元をすくわれる例も増えています。
少し前には薬局大手のウェ〇シアHDの社長が女性問題で辞任するという件もありました。
本章ではこの事例を基にして、企業経営者たる社長が意識するべき私生活について考えてみたいと思います。

上場企業の社長が女性問題で辞任

上場企業の社長が女性問題で辞任

今年四月の半ばころだったでしょうか、少し異色に映るニュースがいきなり飛び込んできました。
件の薬局大手の社長さんが不倫問題で辞任、というニュースでしたが、芸能人などのそれと違って企業経営者の女性問題がメインニュースになるのは珍しいと感じたのを覚えています。
彼(松本氏)が社長を務めるウェ〇シアHDとしては、「私生活上の不適正な行為によって会社の信用に傷がついた」ということで、本人に辞任を求めたようです。
会社が圧力をかけたのか、松本氏が自ら進んで辞任したのか正確なところは分かりませんが、会社としては企業イメージの悪化を招いたということで松本氏の切り捨てにかかったわけです。
ちなみに松本氏は親会社であるイオンの執行役でもありましたが、こちらは取締役会で解任の動議が可決されたようで、強制的にお役御免となった模様です。

社長があっさりクビ・・これってどうなの?

社長があっさりクビ・・これってどうなの?

直接代表を務めていたウェ〇シアの方は一応辞任という形を取っていますが、ようは居てくれると迷惑だから辞めてくれと三行半を突き付けられたに他なりません。
社長があっさりクビになるのはどうなの?という意見も多く聞かれます。
実際、この件については賛否両論様々で、肯定、否定それぞれの意見ももっともに聞こえます。
「まあ自身の下半身問題で会社に迷惑をかけたのだから辞めて当然でしょ」という意見もあれば、「別に社会に迷惑をかけたわけでもないのに、ちょっと可哀そう」という意見も見られます。
例えば殺人を犯したり、強盗、窃盗を働く、女性を盗撮するなど刑法に違反する行為を行ったり、法令に触れなくても社会全体に迷惑をかけるような行為があった場合、糾弾されるのは仕方ないでしょう。
不倫方面では芸能人も多く話題になっていますが、ある男性の芸能人が「別に誰にも迷惑かけてないだろ」と言ってさらに炎上ということもありましたね。
あえて筆者の意見を言わせてもらえば、窃盗など社会に対する害悪を及ぼすようなものでなければ、ある程度許容される「あそび」のある社会の方が生きやすい気がします。
個人の問題や私生活について極端な揚げ足取りを行う文化は韓国で強く見られるようですが、日本もそれに違づいているような印象を受けます。
ただ、本件においては上場企業の社長のスキャンダルであることと、取引先も絡んでいるということで、単純ではないようです。

上場企業であることの影響

上場企業であることの影響

本件については上場企業であることも不利に働いたとの指摘が上がっています。
上場会社は社会に対する責任も重くはなりますし、非上場企業と比べれば不祥事が会社のイメージに及ぼす影響も格段に強くなります。
そうした事情も社長辞任につながったと推測します。
実は最近、上場することのリスクを考えて、あえて上場をしない、あるいは上場を取りやめるといった企業も出ています。
上場すれば名前が売れて事業拡大が望める、資金調達がしやすくなるなどのメリットもある一方、その分余計な縛りを受けたり今回の事件のような不祥事の際のダメージが大きくなります。
それだったら上場せずに自由を優先したいという企業がいてもおかしくありません。
特に経営層が親戚のみで固められ他人が入ってこないような同族企業では、上場すると自分たちの好きなような経営がしにくくなるので、あえて上場しないという企業もあります。
色々なリスクや経営の自由度を考えると、このような選択もありでしょう。

企業イメージへの影響は?

企業イメージへの影響は?

さて今回の松本氏の不倫騒動に立ち戻りますと、彼は取引先の中国人女性と付き合っていたということで、これも個別事情として大きく影響します。
「取引先に便宜を図ったのではないか?」「中国に営業秘密が漏れたのではないか?」などの憶測も出ているようです。
同社はツルハHDとの事業連携も図っている状況ですから、この方面でも影響がでないか心配されています。
ただ同社の場合、企業イメージに直接的な大ダメージを受けたかというと、必ずしもそうではない気もします。
これが例えば、女性専用の商品を開発、販売する企業だったらどうでしょうか。
あるいは女性用の生理用品など女性性に強く関連する会社だったら?もしかしたらより大きなイメージダウンだったかもしれませんね。
今回の件では女性購買層から不買運動などの強烈な反発は受けていないようですが、その会社が手掛ける事業内容やスキャンダル内容、程度によってはこういうことも起こり得ます。

社長が意識すべき私生活とは?

社長が意識すべき私生活とは?

個人的には、政治家や芸能人なども含めて経営者にも人生を楽しむ権利があるはずですから、女性と遊び事をするくらいは大目に見てもいいのではという気はします。
ただ、今回のように取引先の女性と関係を持つのは少し脇が甘いと言えるでしょう。
そして、上でも触れましたが現在は多少の不祥事でも社会からつるし上げを食らいやすい風潮があります。
企業のイメージ低下を避けたいのであれば、個人的な遊び事もできるだけ控えた方が無難であることは確かです。
人生を楽しむことも必要ですが、家族を悲しませるようなことがないように配慮はして欲しいと思いますね。

まとめ

この回では企業経営者の不祥事事例を見ながら、社長が意識すべき私生活について考えてみました。
現在の社会の風潮を考慮すれば、少しの不祥事でも企業イメージ低下につながりやすいので、社長自身も脇を固めた私生活を送った方が安全といえるでしょう。
それが息苦しいのであれば会社を上場せず、自由度を優先するという選択もあります。
それでも事業内容等によっては大きなダメージにつながることもあるで、お遊びはほどほどにしておきましょう。