3月、4月の春の時期になるとフレッシュな新入社員が入ってくるので社内の雰囲気が大きく変わります。
会社としては新人育成の仕事が始まるわけですが、近年は上手くいかずに頭を悩ませる会社も増えています。
新人教育は画一的な方法があるわけではないので、若者の特性に応じて柔軟な対応が求められます。
本章では新入社員の育て方についてポイントや具体的な方法を見ていきます。

近年の新入社員の特徴は?

近年の新入社員の特徴は?

近年の新入社員の性質として「口答えをせず、全体的に大人しい印象」という評価をよく聞きます。
全てそうとはいいませんが、表面上は先輩の言うことを素直に聞く者が多いということでしょう。
その他によく聞かれる新入社員の特徴をざっと挙げてみましょう。

・ネットやWEBの扱いが上手い
・必要な情報を自分で収集できる
・仕事より私生活を優先する
・給料より休日の多さを評価する
・自己発信が苦手
・自己研鑽にいそしむ
etc

基本的に終身雇用は当てにしていないので、将来のために自分を向上させる意識を持つ者が多いとされています。
また仕事よりも私生活を優先するので、プライベートと仕事の切り離しがはっきりしているという評価も多く聞かれ、担当者としては教育がしにくいという声も聞こえてきます。

新入社員を育てる意義とは

新入社員を育てる意義とは

新入社員を育てる意義としては以下の3つに集約されます。

①戦力化を早める

ネットリテラシーが高くても、学生上がりの彼らは仕事では全く戦力になりません。
お寿司屋さんの職人の世界のように「仕事は見て盗め」などと言っていたら戦力になるまで何年かかるか分かりません。
新人教育の大きな目的の一つが早期戦力化で、集中して教育を施すことで短期間に戦力人材となるよう教育を行います。

②モチベーションを高める

新入社員はまだ学生気分が抜けていないことが多いので、仕事に向かう気力はさほど強くありません。
なぜ仕事をするのか、仕事の楽しさを教えながら本人の成長にもつながるように育成を図り、仕事に対するモチベーションを高めていきます。

③早期離職を避ける

最近は新入社員の早期離職の多さが問題になっています。
すぐに辞められると採用にかかったコストが無駄になってしまうので、新人育成によって信頼関係を築き、早期離職を防ぐことも意義の一つです。

新入社員を育てる具体的な方法

新入社員を育てる具体的な方法

では新入社員を育てる具体的な方法について見ていきます。

①集合型研修

対象者を一か所に集め、講師が講話を行ったり、ロールプレイングなどを行います。
一定の知識やノウハウを効率的に与えることができ、参加者同士で討論やロールプレイングを行うことで絆を深めることができます。
この手法は従来からあるもので、対象者が多いほど効率的に行えます。
例えば社長講話で会社の目的を理解してもらい帰属意識を深めてもらったり、マナー研修として最低限の社会常識を教育する場として有効です。
ただ実際の実務についてテクニカルな実習を行えることは少ないでしょう。

②オンラインによる研修

PC等を活用して遠隔で行う研修です。
参加者を一か所に集められない、地方の支社からの参加がある、コロナなどの社会情勢的に対面を避けなければならないなどの場合に有効です。
地理的要素に左右されない強みがありますが、画面上での講習となるので参加者同士のロールプレイングなどダイナミックな内容は扱いづらいです。
また参加者が受け身になりやすいデメリットがあるので、参加者の発言の機会を多く取れるようにするなど研修内容に工夫が必要です。

③OJT

「On the Job Training」の略で、実務を通して実際の仕事を学んでいく手法です。
もっとも実践的で直接的にスキルを身に着けることができますが、教育担当者の負担が大きくなりがちであること、また担当者の教育スキルが整っていないと効果的な教育ができないというデメリットもあります。
会社としては担当者に丸投げするのではなく、最低でも部署単位で支援体制を組み体系的な教育制度として運用することが望まれます。

④メンター制度

近年多くの会社で導入されるようになったのがメンター制度です。
メンターは実務的な仕事を教える立場ではなく、日常の困りごとやメンタル面、あるいはキャリアに関する相談などを受ける役割です。
OJTでは指導役が仕事を教えますが、その中で生じるちょっとした疑問なども別の先輩社員に気軽に相談できると安心できます。
直属の上司、先輩とは別の相談役がいることで、新入社員の精神的なよりどころとなります。

研修内容

研修内容

では研修内容としてどのようなものが取り上げられるか見ていきます。

①ビジネス文書の書き方

社会人になったばかりの新人さんはビジネス文書の書き方を基本的に知りません。
正しい敬語の使い方を教えたり、社内に回す文書と社外に出す文書との書き方の違いなど基本的なビジネス文書の書き方、作成の仕方を教えます。

②ビジネスマナー

社会人でもビジネスマナーがなってない人が少数いて幻滅することがあります。
言葉使いやしぐさ、電話対応や来客時の案内の仕方、あいさつや名刺交換の仕方など基本的なビジネスマナーは必ず身に着けてもらわなければなりません。
社内で適当な担当者がいない場合は、外部のマナー講師を活用すると良いでしょう。

③対人関係のスキル

ビジネスマナーとは別に、適切なコミュニケーションの取り方を学んでもらうことも必要です。
相手を尊重したコミュニケーションの取り方、自分の意見を対立を避けて伝える方法など、社会人がぜひ知っておきたいスキルやノウハウを学んでもらいます。
こちらも必要に応じて外部講師を活用すると良いでしょう。
上記はごく基本的な内容ですが、各会社で必要とされるスキルは異なるので、部署単位もしくは部門単位、経営層単位で研修内容の組み立てや具体的な実施方法を検討するようにしてください。

まとめ

本章では新入社員の育て方についてポイントや具体的な方法を見てきました。
新人教育はともすると現場の負担となる事があり、部署、部門単位で体系的な教育体制を整える必要がありますから、ぜひ会社全体の使命として捉えるようにしてください。
集合形式、オンライン、OJT、メンター制度など複数の方法がありますが、どれかに絞る必要はなく、むしろ内容に合わせて研修の実施方法を変えていくのがベターです。
メンター制度については導入した多くの企業で良い効果がみられると報告がされているので、ぜひ検討してみてください。